スイス旅行(1)
ヴァリス州の中のツェルマット周辺
                                    <マッターホルン早朝>  2号
この山を眺めながらスキーを行う。これが少年の頃からの夢であった。毎朝日の出前から宿を出て近くをほっつき歩く。
マッターホルンの山頂がピカリと輝く瞬間は呆然として言葉もない。この感激が忘れられず以来何度もスイスを訪れる
ことになった。これを描いた場所は、ウィンケルマッテンというロープウエイ乗り場近くの山道。この辺りは、昔からの生活
を営む村落があり、小さな教会や牛の水呑み場などが点在しているまことに心和むところである。
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                                 <マッターホルンの夏>  2号
山麓の村ツェルマットから地下ケーブルで登ったところがスネガーで、この辺りからのマッターホルンが一番均整がとれて
いて美しいと思っている。レストランのテラスでお茶を飲んでいるとうまい具合に雲が出た。パイプの煙といわれている雲で、
これが出ると天気が下り坂となるらしい。好天に恵まれたトレッキングの思い出に浸りながら眺めているとこれ以上の至福
の時はないように思われる。
               <マッターホルンの冬>  2号
グリンデルワルトに宿泊してアイガー近辺のスキー場を巡った時、思い立って朝一番の汽車に乗り日帰りでツェルマットを
訪れた。テオドール峠から氷河を滑り降り、午後はここスネガーに上った。マッターホルンは、巨岩を刻み込んだ彫刻のよう
にも見えるが、冬場は一層それを強く感じる。
          <グリンジゼーからのマッターホルン>  2号
夏のマッターホルンを見るのに大抵は登山電車でゴルナーグラードに上り、リッフェルゼーまで歩いてここで逆さマッター
ホルンを眺める。しかし、このコースは登山電車からドッと降りたった人たちで一杯になり、いささか興をそがれる。その点、
スネガーからたどり着いたグリンジゼーは閑寂そのもの。私達はここでピクニックランチを楽しみ、絵を描き1時間以上い
たがこの間2,3のパーティーに合っただけだった。山は昨晩雪が降ったようで夏とは思えない様相が池に写っていた。
                        <ツムットの村>  2号
マッターホルン直下のシュバルツゼーからツェルマットへ下るよいトレッキングルートがある。この途中にツムットという小さ
な村がある。殆ど観光客相手の店になっているが、なかには昔からの生活(牧畜)を続けている家もある。何れも100年以上
と思われる建物をそのまま使っている。絵の中で氷河とメモしてある先端の点々もそのような村の一つでフィンデルンという
ところである。スイスで感心するのは、このような鄙びた処の住民が何やら楽しそうに自信を持って生活している姿である